最高裁判所第三小法廷 平成3年(オ)220号 判決 1995年7月04日
東京都中央区<以下省略>
上告人
日光商品株式会社
右代表者代表取締役
A
同品川区<以下省略>
上告人
Y1
秋田県本荘市<以下省略>
上告人
Y2
東京都足立区<以下省略>
上告人
Y3
右四名訴訟代理人弁護士
肥沼太郎
三﨑恒夫
秋田県雄勝郡<以下省略>
被上告人
X
右訴訟代理人弁護士
津谷裕貴
右当事者間の仙台高等裁判所秋田支部平成元年(ネ)第四七号損害賠償請求事件について、同裁判所が平成二年一一月二六日言い渡した判決に対し、上告人らから一部破棄を求める旨の上告の申立てがあった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。
理由
上告代理人肥沼太郎、同三﨑恒夫の上告理由について
所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして肯認することができる。原審は、右認定事実により、(1) 上告人らは、商品先物取引の経験が全くない被上告人を電話により勧誘し、商品先物取引の仕組みや危険性について十分な説明をしないまま取引を始めさせた、(2) 本件において、多くの取引が、実質的には委託の際の指示事項の全部又は一部について被上告人の指示を受けない一任売買の形態でされ、短期間に多数回の反復売買が繰り返されたり、両建が安易に行われている、(3) 上告人らは、被上告人の自主的な意思決定をまたずに、実質的にはその意向に反して取引を継続させ、被上告人の指示どおりの取引をせず、その資金能力を超えた範囲まで取引を拡大させた、など本件取引に関する上告人らの一連の行為を不法行為に当たるものと判断して、被上告人の本件請求につき過失相殺の上、その一部を認容すべきものとしているのであって、この原審の判断は、右事実関係に照らせば、正当として是認するに足り、原判決に所論の違法があるとはいえない。論旨は、帰するところ、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難し、原審の裁量に属する過失割合の判断の不当をいうか、又は原判決の結論に影響しない説示部分を論難するものであって、すべて採用することができない。
よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 千種秀夫 裁判官 園部逸夫 裁判官 可部恒雄 裁判官 大野正男 裁判官 尾崎行信)
<以下省略>